About Lipids
学ぼう!脂質の基礎知識
Lipids: The Source of Life
脂質は生命の源
生命の誕生から、今もなお
私たちの祖先のもっとずっとずっと前、この地球に初めて生命が誕生した時までさかのぼります。
海の中で、最初の細胞が誕生しました。
水を満たした細胞を、水の中でつくるには、水に溶けない物質でないといけません。
そこで選ばれたのが、脂質です。
脂質は生命の源なのです。
それから38億年の月日が経った今も、すべての生きものが細胞膜を脂質でつくって生きています。
脂質がなければ、細胞一つも生きていくことが出来ない。
それほど大事な存在なのです。

脂質のはたらき
Functions of lipids
脂質の4大機能
脂質がエネルギー源になることはよく知られています。
細胞膜をつくるはたらきも見てきました。
さらに、あと二つ、大事なはたらきがあります。
一つめは、脂質メディエーターとして恒常性を支えるはたらき
二つめは、皮膚のバリアとなって異物から体を守るはたらきです。
それぞれのはたらきを見てみましょう。
エネルギー源
体を動かすエネルギーの元になる栄養素は、糖質、タンパク質、脂質の3種類。その中で、糖質とタンパク質は1gあたり4kcal、脂質だけが9kcalです。カロリーが高いと嫌われがちですが、飢餓を生き抜くためにはとてもありがたいエネルギー源です。
今日本は飽食の時代ですが、生きものは常に飢餓との戦い。少量でたくさんのエネルギーを生むことが出来る脂質は、とても貴重な存在です。

細胞膜

細胞膜は、ただ内側と外側を隔てるだけではありません。細胞が一つの生命体として生きていくために、余計なものは入れてはいけないけど、栄養は取り入れないといけないし、細胞内で出た老廃物は、すみやかに細胞の外に出さないといけません。実は細胞膜は、必要なものと不要なものを見分けて、必要なものを選択的に取り入れるという優れた機能を持っています。
閉じつつ、開く。
細胞膜をつくっているリン脂質は、クルクルとたくみに位置を変えながら、その機能を支えているのです。
脂質メディエーター
細胞膜の脂質は、ただ細胞を包んで守っているだけでなく、いざという時にそこから切り離されて脂質メディエーターに変身します。
まるで戦隊ヒーローみたいに。例えば、切り傷から細菌が入ってきた時、細胞膜の脂質が脂質メディエーターに変身して、炎症を起こし、免疫細胞を活性化させて敵と戦います。そして戦いの終盤で、今度は戦いを終わらせる脂質メディエーターに変身して、炎症を終わらせ、壊れた組織を修復させて、体を元の状態に戻します。
戦隊ヒーローのブンブンレンジャーが5人なのに対して、脂質メディエーターは今分かっているだけで、なんと100種類以上!
わたしたちが知らない間に、体の中でいろんな姿に変身しながら守ってくれてるなんて…なんだか愛おしいですね。

体表バリア
細胞が細胞膜に包まれて守られているように、体は皮膚に包まれています。皮膚も細胞膜と同じように、不要なものが入ってこないようなバリア機能を備えています。それを支えているのが、皮膚の一番外側、表皮の角質層の細胞間脂質という脂質です。細胞間脂質の代表は、美容成分としても知られるセラミド。
細胞間脂質が皮膚の最表面でスクラムを組むように異物の侵入を防ぎ、さらに、そこを突破されたときは、皮膚の脂質メディエーターが戦って守ってくれます。頼もしいですね!
